僕は凄いことに気づいてしまった。
僕は中学校から大学3年にかけて、
同年齢の他の人と比べて圧倒的に外出していないことに気づいてしまったのだ。
よくよく考えれば、刻一刻と時が流れていく現実の世界は、有限であり、
その時に体験しなければもうチャンスはないようなことだってある。
僕が今までずっと向き合ってきたモニターと、その中の仮想の世界は、
確かに毎日毎日新しいものが生み出されるものだが、いつでも体験できるものが殆どだ。
動画もゲームも、いつでもどこでも見れる。
今年の夏は、バイトで殆ど埋め尽くされていたが、
残すことわずかな大学生活をなんとか華のあるようなものにしたいと、
申し訳なさそうなたたずまいで木更津日帰り旅行と水上旅行をスケジューリングしておいた。
はあ。
出掛けるのがこんなに楽しいなんて。
思えば小学校の頃は毎年旅行に行っていた。
でも、ただ自然を眺めたり、おいしいものを食べるだけの為に、落ち着く場所を離れるなんて、
小学生の僕には到底理解できなかったし、毎年のように旅行に連れて行く両親を、
小学校高学年には忌み嫌っていたものだ。
旅行だけではない、もっと毎年の夏休みが、「遊び」で埋め尽くされていたら、
どんなに心が素敵に満ちあふれているだろう。
だが後悔はしてはいけない。
大学生になってそれを学んだ。
過去は悔やむためにあるのではなく、より良い未来に進むためにあるんだ。
では逆に考えれば、小学生のころからろくに外出もしないでパソコンで
僕は何をしてきたのか。
絵を描き、曲を作り、動画を作り、日記を書いた。
BANされなければ残り続ける、莫大な情報量が漂い続けるこの仮想な世界で、
僕は何を知ったのか。
バーチャルのメリットは色あせずに残り続けること。
全く顔も見たことのない第三者に、情報が伝えられること。
デジ一を片手に持って行った今年の旅行で、はっと気づいた。
アナログとデジタルの境界で、住み続けようと。
デジタルに寄りすぎてはいけない。
アナログに寄りすぎてはいけない。
自分が今まで大切にしてきた場所だ。
変わり続ける景色と、変わらない写真を見ながら。
そう思った。
僕は凄いことに気づいてしまった。
